こんにちは!
Enjoy Colorful World(ECW)のコブタです!
今日は、色盲とそれを取り巻く環境についてです。
通常「色盲」と呼んでいる方も多いかと思いますが、
現在、日本の眼科学会では「色盲」という言葉が完全に姿を消してしまいました。
『全盲』という言葉が、「まったく見えない」という意味だから、
『色盲』は、色が見えるにも関わらず、
「色がまったく見えない」という間違った意味に取られかねない恐れがあり、誤解を招きやすいからです。
更に、
事故や病気・疾患などによる『青緑色覚異常』に対して、
生まれつき、先天的である『赤緑系色覚異常』の原因は遺伝であるという事が知られており、
色覚異常者では、就けない職種などもある事から、子どもへの遺伝の影響も考え、結婚の際などには、気にされる方も多くおられます。
今日はそんな、誤解や偏見を招きやすい『赤緑色覚異常』にフォーカスしてみたいと思います。
色盲・色覚異常の日常の症状とトラブル
まずは、色覚異常の方々の、実際の様々な色の見え方や、トラブルについて触れてみます。
医学的な『色盲・色覚異常とは』という
観点からの、症状の記事はコチラ!
自分の症状と長くつきあってきた大人はまだしも、
子どもたちは、その症状と、
周囲の大人達の理解がない故に、時々悲しい経験をする事もあるようです・・・。
学校での出来事&トラブル
バックが緑の黒板の、赤い字が見えない。
要点を書いた赤文字も、他の黒字とまったく同じに見える。
図画の時間、見えている色も、使っている絵の具の色も識別できないため、出来た絵がかなり独特。
人の顔の色を、すべて緑で書いてしまった。
絵の具の色は、毎回友達に確認する。
中学になると、自分の症状を知らない美術の先生に、『12色相環』などの簡単な質問をされても答えられず、怒られる。
仕切り線が入っていない、カラフルな円グラフを読み取ることができない。
UNOなどの、色で見分けるカードゲームなどで遊べない。
登下校中、信号機の新古によっては、見分けられない信号があった。
実際、虹を見た時、7色にはとてもじゃないが見えない。
社会の時間の、地図を見て色を塗ったり、見分けて質問に答える問題は、もはやどうしたらいいかわからない。
テトリスや、ぷよぷよなど、色合わせをするゲームは困難。
う~む・・・、
授業で叱られたりだとか、外を歩いていて危険な事も多いのでは心配ですが、小学生くらいだと、お友達と一緒に遊べない事があるのは、ちょっと寂しいでしょうね。
日常生活(屋内)での出来事&トラブル
調理中、色の変化がわからない為、火が通ったかどうかわからない。
焼肉などに行くと、どれをひっくり返していいやらわからない。
「その肉はもう焼けたから食べてもいいよ」と言われても、どの事がわからず、生肉を食べてしまう。
野菜や果物などの、熟れ具合・傷み具合がわからない為、いつ食べていいかわからない。
コーヒー牛乳と野菜ジュースを間違える。
カレンダーの祝日がわからない。
パステルカラーのカレンダーなど、地獄。
無地の靴下だと、左右色違いで履いてしまう。
新しい電化製品などを購入すると、コードの色で説明されている接続は、うまく繋げない。
テレビやPCの初期設定が必要になった時、色の調整ができない。
スマホや、充電式電池の、充電完了のランプが読み取れない。
赤飯がとんでもなく汚く見える。
赤ちゃんの便の色がわからない為、健康管理が不安。
人の顔色の変化などが難しい。
中には、どのお肉をひっくり返していいかわからず、友達が焼いてくれるものばかりを食べていたら、「お前もひっくり返すなりしろ!」と、気遣いがないと思われてしまった人も・・・。
日常生活(屋外)での出来事&トラブル
晴れているのか、曇っているのか、天気がわかりづらい。
信号(1、2灯式)、点滅されると、赤なのか黄なのか、どちらが光っているのかわからない。
※ 現在の信号機は、青と青以外の色が区別できるよう作られていますが、赤と黄が区別できるようには作られていません。
夜の車の運転が、信号と水銀灯が区別しづらい。
前を走る車のブレーキランプが見づらい。
車の色を、遠くからだと見間違える。
お花見に行っても、白だかピンクだか変化ない。
紅葉などはどう見ても緑。
特に緑の中にある赤い花は、見づらい。
地下鉄などのカラフルな路線図は読み取るのが困難。
ゴルフで芝生の上に置いてあるマーカーが見えない。
麻雀で赤い文字が黒に見える。
普通に選んだ服が、他人曰く「○パン三世ばりの色の組み合わせだった」
紅葉を見に行った際、濡れた地面に紅い紅葉が敷き詰まっていて、周りが口々に美しいと褒めちぎっていたが、よくわからなかった。
公衆でのトイレで、男女の色分けが淡い色の絵だけだった時、どちらも見えない。
券売機の赤いランプが読めない(黒地の赤文字の識別が難しい)為、「売り切れ」などの表示がわからず、ボタンを押し続けてしまう。
券売機や、地下鉄の路線図など、人の助けが必要な事も出てきますね!
会社・職場での出来事&トラブル
備品発注の際、違う色の製品を発注してしまった。
就職後、職場に色覚異常が知られ、部署を変えられた。
料理人になりたくて修行を始めたものの、新鮮なものと、傷んだ食材の区別がつかず、諦めざるをえなかった。
PC画面で、色ごとに区別してある説明図だった時、いくら指示されても、指定された色を選ぶ事ができない。
緑インクを赤インクだと思って使っていた。
避難訓練の際、非常口のランプが煙の中では、かえってとても見にくかった。
車の修理工だが、塗装の色を間違えた。
スライドや、更に赤いレーザーポインターで、プレゼンテーションをされると見分けはおろか、追うことができない。
火事の中、非常口のランプが見えないのでは、ちょっと困りものですね!
人口に対する色覚異常の方の人数を考えると、改善が必要ですね!
色覚検査をする事は差別か?
小学校での色盲検査・チェックの廃止は差別対策?
色覚異常の部類や、度合いにもよりますが、
現在わかっている通り、(主に染色体の劣性遺伝によるとされていますが)遺伝により、生まれてくる率が高いとされる色覚異常。
2003年までは全国の小学校で色覚検査が行われていましたが、
間違っていたり、かなり断片的な情報により、差別を受けたりする人々も多々居た為、
「色覚検査はすることは、差別につながる」として、2016年まで学校から色覚検査が姿を消し、
結果それにより、親も子も、自分の症状を知らぬまま、「色覚が正常であること」が求められる進路・就職を選び、
試験を受けて初めて夢を絶たれる青年達が現れました。
これではいけないと、廃止から10年以上が経過し、
やっと色覚検査が戻ってきたわけです。
しかしここで、お伝えしたいのが、
「戻って来た、戻って来た」と両手放しで一安心し、
色覚検査に全幅の信頼を寄せ、
「これぞ絶対!」と思わないで頂きたい、という事です。
以下の話を、お読みください。
先天性色覚異常の子どもが現れる確率
アメリカでは、
男性の約12人に1人(8%)、
女性だと200人に1人(0.5%)
の割合で生まれてくるとされる先天性色覚異常。
ヨーロッパ圏になると、
男性の10人に1人(10%)、
女性はアメリカと同じ、200人に1人(0.5%)。
欧米ともに、クラスには2~3人居る計算になりますね。
さほど珍しくないという事でしょうか?
アフリカ系になると、どーんと減って25~50人に1人(2~4%)程度。
対する日本では、
男性の20人に1人、
女性だと500人に1人
の割合で生まれてくるとされる色覚異常の人々。
日本人口のうち、300万人以上が該当しているので、クラスに1~2人は居るという計算になるでしょうか。
欧米に比べると少ないとはいえ、いわば、学級委員くらいの確率ですね。
珍しくてたまらんという割合でない事はお分かりいただける思います。
ここでちょっと!
正常色覚が求められる職種の代表的な例
アメリカで、色覚異常を持つ人が就けない仕事は、1級(旅客を乗せるタイプの)パイロットだけですが、
日本は、色覚異常の方の絶対数が少し少ないせいか、
米国と同じパイロットは勿論、航空会社の全職種に、色覚異常者の採用に何らかの制限があります。
管制官など、航空に関係のある公の仕事もアウト。
電車(動力計)運転手、消防士もダメ、
消防士は自治体に寄りますし、
電気工事を扱う技工士や、劇薬を扱う職業が採用を制限。
警察官は、職務に支障がなければOK!だそう。
中には、「卒業後の就職に問題がでる」という事で、色覚異常者の入学を制限している大学がいくつもあると言うから驚愕です!
これは、自分の大学の就職率データを下げたくないだけではないのでしょうか?
こういった規制があるのは日本だけですから、いい恥です。
そもそも就職率は、
通常視覚の人ですら、自分の努力や、運次第で採用されるか否かがボロクソに変わるこのご時世ですから、色覚異常はもはや関係ないでしょう。
あまりにたくさんの制限に、「どうして日本だけ?」と思ってしまいますね。
色覚異常の採用うんぬんに限らず、日本の仕事には数多くの厳しいルールがあります。
その数多い厳しいルールこそが、日本特有の「完璧な仕事っぷり」を支えているのでしょうが、
そのルールによって、
「教育までが制限されている」
「仕事に就きたくても、自分ではどうしようもない事で制限されている」
のでは話が別ですね。
そもそも日本にまだ徴兵があった時代、
「兵隊として役に立たないどころか、
仲間の命をも危険を及ぼす恐れのある色覚異常者を、
先に見つけておこう」
という考えを根底とした、『石原式』という考え方が残ってしまい、
それがそのまま、戦後の小学校の色覚異常検査の際にも持ち込まれ、
結果、現在では、他の国では受ける事もないであろう差別を受けているのです。
数々の職種への就職の規定が、べらぼうに厳しい事は、
差別云々かも含めて、きちんと考え直す必要がありますね。
欧米での、少年の10人に1人という確率を考えると「色覚異常の人が居て当たり前」なのでしょうね。
・・・そうなってくると『異常』と付けていいものやらどうなのやらも、疑問点になってきますが、
だとすると、雇用に厳しすぎる条件ばかりを求めていては、
日本以上に雇ってもらえない人々が増えることになり、
ますます「差別」という事になるでしょうね。
色覚異常だろうが就職には可能性がいっぱい!
誤解のないように書いておきますが、
色覚異常でも、警察官になりたい・・・というのであれば、仕事に支障がなければなることができますし、
警察官によく似た警備員など、別の職種もあります。
「どうしても人を逮捕したくてたまらん!」というのであれば、
あまり知られていませんが、私達民間人でも、「私人(常人)逮捕」といって、条件などはあるものの、逮捕はできます。
色覚異常を持つ方の、デザイナーや、絵描きの方など、数多くおられます。
ピカソ、ゴッホ、モネ、ルノアールなどを知らない人は居ないでしょうが、彼らはみんな色覚異常であった事が近年の研究で明らかになってきました。
むしろデザイナーの方々のほうが、今は「カラーバリアフリー」などという言葉もあるように、色覚異常の人々の見え方を加味していないと、デザインできない建築物や図なども、現在は数多くあります。
医師になる事もできますし、眼科医になる事も可能です。
一言に「色覚異常」と言っても、視力、種類、程度など千差万別ですので、一概に「この仕事は色盲だからダメー!」と、一刀両断に断たれるわけではありません。
「そもそも色盲・色覚異常はほんとに障害なのか?」という考え方
また別のこんな考え方があります。
「目の見え方は、AやB,OやABなどが居る血液型と同じだという事」
・・・別の国に行けば、血液型Oは95%を超える、「大多数」ですから、
そこに行けばA型やB型など、日本では一般的な血液型もマイノリティ(少数派)なわけです。
つまり、
まかり間違ったら、血液型がAやBやABだったというだけで、差別を受けていたかもしれませんね?
「いやいや、血液型が違ったって、障害でもなんでもねーじゃん!」
「支障出てないんだから、色覚異常と一緒にしないで!」と思われましたか?
いいえ、
日本人お好きでしょ?
「あ、あなたA型だから、クソ真面目で私とは合わない」とか、
「B型だから、部屋めちゃくちゃ汚いんでしょ?」とか、
「O型なら、おおざっぱのハズだし、オフィスのあの書類を散らかしていったのも、O型の●●●さんに決まってる」という、
個人をよくよく知りもしないで、血液型だけでやってしまう判断。
ちなみに筆者のある職場でも、採用試験の際、「必ず聞いておかないといけない事」として、住所や学歴と同等に、「血液型」がありました。
面接が終わって、ドアに向かう私に、採用担当者が、わざわざ呼び止めてまで、思い出したように尋ねるので、
「それ、絶対尋ねないといけないのですか?」と訊くと、
「はぁ・・・なんかそう決まってるんですよ」と言われました(笑)
ええ、
ほんとにオフィスを散らかしまくってしまうのであれば、O型さんはさぞか会社にとっても迷惑でしょうし、
B型さんの周りにいては、不衛生ゆえに菌までまき散らすかもしれませんね!
社会にとって、さぞかし危険でしょうよ!
・・・・・・ほんとは、どれが正常で、どれが異常・障害って事でもないのにね!
筆者は何が言いたいかと言いますと、
実際、色覚異常とされた方の中には、言われた事もある方も多いかと思いますが、
色覚をタイプPとかD型とかいう呼び方があるという事。
それは、血液などと同じ、遺伝子のタイプによって区分けされています。
正常視覚(Normal Vision)の人々を、タイプC。
タイプP(Protanope):
第1色盲、1型2色覚。赤色盲。(先天性の約25%)
タイプD(Deuteranope):
第2色弱、第2色弱色盲。2型緑色弱。先天性の約75%。
タイプT(Trianope):
第3色盲、3型2色覚。青色盲。青緑色盲。
詳しくは、【用語とタイプ】参照
つまり、視覚も、PとかDとかいうように、タイプが存在し、
その中には
「●色が見えないタイプ」
「▲色が見えるタイプ」
などのように、色覚異常も、ただのタイプでしかないのではないか?という考え方です。
先程、「日本だけどうしてこんなに職業や学業まで制限されてしまうの?」というお話をしましたが、
実は世界でも、大多数であるタイプC(私達が呼ぶところの「通常」色覚)が“正常”とされ、
それ以外のタイプの人々を「障害」と呼び、
多くの職業や学校で「不適合扱い」されてきたという歴史がありました。
けれども先述したように、
日本以外の先進国では、その風潮はグッと少なくなってきました。
日本は、法律改正や、ルール改正においては、本当に腰の重い国です。
これは、声を大にして言えますが、
男尊女卑や、見た目での区別・差別などの類に関しては、
日本の現状は、立派な後進国です。
「人間」というくくりで、生物学を研究すると、
ヒトには約3万個の遺伝子がありますから、実に多様です。
「大多数だったから」と言って、そのうちの1つだけを「正常」と呼ぶのはもはや無理ではないか・・・という説。
実に頷けますね!
「うちの子、色覚異常じゃないか?」と感じた時、どうしたらいいか?
人々の前で、健康診断や身体検査を受けることが必要かどうかはともかく、
自分の身体の事を知っておく事は、決して差別ではありません。
これ、何も色覚異常の子どもを持つ親御さんに限った事ではありません。
発達異常・学習障害など、小学校入学前の検査を逃れ逃れて、
わざと受けさせず、普通の小学校に入学させる親御さん、
今すごく増えていて、市町村や学校が困っています。
(理由は、「自分のこどもは普通である」「どうしても普通学級に入れたい!」「うちの子どもを障がい者扱いするのか!」など、様々だそうですが)
むしろ
「ダメなところがあったら怖いから、知らないほうがよい」
「他人に知られたら、結婚や就職で差別を受けるから、検査はしない事にしよう」という、
事実に蓋をする提案と選択こそ、恐ろしいことだと思います。
それこそ、
色弱の人々がなんか悪さでもしたのか、
汚点か何かだとでも思っているのか!
と言いたくなるような、隠しっぷりだと言わざるを得ません。
学校へ通うような年齢の子ども達の場合、
外へ一歩出れば、色で識別せねばならない事など、多々ありますし、
社会へ出る前には、就職試験、
社会へ出てからは、色を使って説明される事も多々あるでしょう。
ですので、「自分の色覚になんか問題があるんじゃないか」と感じる人は、
なるべく早めに検査を受けて、
「自分にはどの色が見分けづらいのか、自分の色覚のクセ」を知っておく事のほうがはるかに必要です。
誤認しやすい状況や、注意点などを、自分で意識し、
対策を練るなど、前もって対処する事ができますし、
正常色覚が必要とされる職業への試験・就職前に、問題点に気付き、
よく似た別の職業を選ぶ事ができる、など、
試験勉強の種類や、労力、それに費やす年月をムダせずに済むようになります。
子どもの場合は、
色覚検査で、実際に何を訊かれているのか理解できるのは、小学校中学年ほどからになるため、
自分の子どもがなんだかおかしい色使いをしているとか、
色で指定して「あのピンクのお皿取って」などと言っても、わからない、などの場合、
「こりゃえらい事になったぞ~・・・」とばかりに、
「この色は見える? どんな色?」などと質問攻めにするのではなく、
小学校低年生くらいになるまで、まずは様子を見ましょう。
・・・子どもはと「何かの理由で、親が必死の形相である」とかいうのは、親の焦りっぷりで、はっきりと感じとってしまい、
果ては、「自分にはどうやら、とんでもない問題がある」というふうに受け取ってしまい、
まだ自分の状態を知らないうちから、ひどいコンプレックスになってしまいます。
我が子の異常に気付いた時には、親も焦ってしまいますから、
「あんたこれ、大変な事なんだよ! きちんと答えなさい」とばかりに、ガタガタ子どもの体を揺さぶって、無理に何度も確認したりしていると、子どもは、二度と答えてくれなくなりますよ!
それよりも、
1足1足、模様の違う靴下を買ってきたりだとか、
クレヨンや、色鉛筆、そして絵の具をニュルリと出すパレットなどにも、
いちいち文字で色の名前を書いてやったほうが、子どもが学校で気まずい思いをしなくて済むようになるでしょう。
焦らず、追い立てたりせず、
親や保護者は、ど~んと構えて、「自分が色覚異常だったら・・・」と想像して、前もって就学道具などに配慮をしてあげるととってもGoodですね!
遺伝なんてなんのその!
差別の心配も吹っ飛ばすくらいの、元気いっぱいの子どもに育ててしまいましょう!