こんにちは、【Enjoy Colorful World(ECW)】のコブタです^^
今日のテーマは、『色盲』に対する根本的な疑問です。
「全盲」が、目が全く見えない人を言う事からして、
「色盲」とは、てっきり「色の識別が全くできない人」の事だと思われがちですが、ここで認識をしっかりしておきましょう。
色盲とは何ですか?
色弱とはどう違うのですか?
色盲とは、現在では「色覚異常」と呼ばれ、
簡単に言えば、色を感じる感覚が、正常でない状態の診断名が「色覚異常」です。
「色盲」という呼び方が、誤解や差別を招くおそれがあるため、
現在、実際には、色覚異常、色弱(しきじゃく)、色神異常などさまざまな呼称が使われています。
後で詳しく説明しますが、
網膜の中の視細胞(色細胞)の種類:3つの錐体のうち、
1つがない人を“白盲”と呼んだり、
錐体はあっても、一般の人よりちょっと少ない場合を、“色弱”と呼んだりしていましたが、
違いは、「程度の差」だと思って下さい。
しかし、2005年以降、日本眼科協会の用語の中から、「色盲」も、「色弱」も姿を消し、
現在では主に、「色覚異常(色覚多様性)」と呼ばれていますが、
「異常」とか、「弱」とか、ちょっと響きがドギツイので、
将来、タイプPや、タイプD、Tなどのように、血液型のように違う呼び名で呼ばれるようになる日が来るかもしれませんね。
色盲・色覚異常の種類と見え方のタイプ
一言に「色盲」「色覚異常」と言っても、
種類もいくつかあり、見え方もそれぞれ違います。
大きく分けて3種類あるので、少し調べてみましょう。
人間の目の基本
まず初めに、ヒトの網膜には、赤・緑・青の3色を見分ける能力があります。
外からの刺激の強さで、色々な色を認識しています。
その3つの光の組み合わせのパターンによって、全ての色が作られています。
色を感じる【錐体(スイタイ)】← 視細胞の一種ですね、
それにも、赤に敏感なもの、青に敏感なもの、緑に敏感なものが存在しており、
その全てがバランスを保ち、正常に機能していれば、色を正常に見る事ができるわけです。
『色覚異常』は、
この3つのうち、どれかが欠けている、
あるいは、機能の働きが不充分である事で、
視力が低下したり、視野が狭くなったり、色の識別に障害が起きている状態です。
また症状が出る時期も大きく分けると、
遺伝による先天性色覚異常と、
事故や眼疾患によって視覚に障害が生じる、後天性色覚異常の2種類があります。
先天性の場合は、遺伝が主な原因とされ、現時点では有効な治療法がありません。
が、色覚異常の程度が変化しないことや、
色覚以外の視機能に問題がない事も多いのが特徴。
対する、後天色覚異常は、
事故や、緑内障や網膜など、何かの疾患などにより、後天的に発生するものです。
なので必然的に、色覚以外の視力や視野にも影響が出たり、病気の状態によって色の見え方も変わってくることがあります。
ちょっと詳しく書きますね!
『1型2色覚』とは・・・
赤い光を感じる“L錐体”を持たない為、赤の分別ができません。
『2型2色覚』とは・・・
緑を感じる視細胞が無い、
もしくは、赤い光を感じる“L錐体”と、緑の光を感じる“M錐体”の、
双方の分光感度がズレている為、緑の区別が難しい状態。
赤を見づらい、1型2色覚と状況が似ています。
『異常3色覚』とは・・・
極めて稀な例とも言える、『3色覚』。
視細胞はきちんと3種類あるものの、そのうちどれかの機能が低下している、いわゆる「色弱」の状態。
赤を感じる視細胞の程度が低いものを『1型3色覚』、
緑を感じる視細胞の感度が低い場合を、『2型3色覚』と言う。
赤の識別には、何ら問題がない反面、緑系統が、暗い灰色にくすんでしまいます。
また、色が見えている状態の場合、どこか特定の錐体の働きが弱いため、色がくすんだ状態に写ってしまう事から起こります。
↓ ↓ ↓
区別しにくい度合いによって、
1色型色覚、
2色型色覚、
異常3色型色覚の3つに分けられています。
もっと詳しくみてみましょう!
1色覚
私達がイメージする「色盲の人達はモノクロームの世界で生きている」のが、このタイプです。
いわゆる『全色盲』と呼ばれるもので、そもそも色に対する感覚が全くありません。
人間の目には本来、網膜の中心の黄斑に密集する、「錐体細胞」という名前の、視細胞の一種、S(青錐体)/M(緑錐体)/L(赤錐体)があるのですが、
この「1色覚」というタイプは、その錐体細胞を全く持っていない、
もしくは、そのどれか1つしか持っておらず、色覚異常の発症数としては、数万人に1人の確率となるため、極めて稀だと言えるでしょう。
私達がイメージする、ステレオタイプ「世界がモノクロに見える色盲」というのは、実は色覚異常の中でもほんの一握りである事がわかると思います。
もし、S/M/L錐体細胞のうち、ひとつも持っていない場合・・・
健常な目で例えるとすると、
明るい部屋から、暗い部屋に入った時の、目が慣れるまでの間、
しばらく真っ暗な状態が続きますよね?
あの状態だと思ってください。
つまり、
「色がまったく識別できない」という状態、プラスアルファで、
物などの細かい形状が識別できない、など、
視力自体が極度に弱い、「弱視」などの症状を持っている場合がとても多い。
視力も、0.1などと低い場合が多く、
ただし、健常な人が「視力、悪くなっちゃった!」という状態と違い、
そもそも網膜の造りの問題である為、
一般的な近視対策メガネなどでは、その弱視も、色覚も改善はしない。
もし、S(青)錐体細胞のみ持っていた場合・・・
もし、S/M/Lの内、Sだけでも持っていた場合・・・
人間が本来持っているS錐体の絶対数がそもそも少ないため、
S/M/Lをひとつも持っていない場合と、さほど変わらないとされるが、
視力は少し上がって、0.3~0.4程度。
M(緑)、もしくはL(赤)錐体だけ持っていた場合・・・
まだ色の識別はできない場合が多い。
しかし、S錐体のみ持っている場合と比較すると、視力は少々高くなってくる場合もある。
先天赤緑色覚異常とは
先程の一色覚は、色の識別にプラスして、視力が低いケースがありましたが、
こちらの「赤緑色覚異常」は、色の見分けが難しいだけで、
異常の程度は変化せず、
視力には問題ないケースが多いのも特徴です。
特に、赤系統と緑系統の区別が難しいケースが多く、
日本では、男性の20人に1人、女性では500人に1人の割合という事になり、
色覚異常者の実に6割以上を、この『先天赤緑色覚異常』が占めているという計算になります。
ちなみに日本国内には、300万人以上が該当しているので、
クラスに1~2人居る計算になるでしょうか。
珍しいものではありませんが、程度は人によって異なります。
また生まれつきの遺伝の場合がほとんどで、
後天的にこの「赤緑色覚異常」になる事は極めて稀とされています。
片眼だけ色覚異常という事はあまりなく、両眼性。
また「現在の医療では、有効な治療方法はない」とされていますが、
色覚異常の程度などが悪化・好転したりなどの変化はなく、
治療とまではいかないまでも、最近だと色覚補正メガネなどもあります。
また先天性の特徴として、
生まれつきそういった状態である為、
他人に指摘されたり、検査を受けない限り、自分の色覚異常を自覚していない場合も多々ある。
この記事の最後「日本の小学校から
色覚検査が消えていた時期」の箇所を参照。
青黄色覚異常とは
先程の、『先天赤緑色覚異常』が、
先天的(生まれつき)であるものが主だった事に対して、
こちらの『青黄色覚異常』は、
事故や、緑内障や網膜など何かの疾患などにより、後天的に発生するものです。
なので必然的に、
色覚以外の視力や視野にも影響が出たり、
病気の状態によって色の見え方も変わってくることがありますし、
そもそもの根本である、色覚異常を引き起こした病気自体が治療対象であるため、
色覚の異常だけにフォーカスされる事が少なく、
根本の病気を治療する事によって、色覚異常が治るケースもあります。
原因は、視神経の一種、錐体神経のうちの、青錐体(S錐体)の異常によって起こる。
起こるのですが・・・
通常の視覚の人々でも、そもそもこの青錐体(S錐体)の数は元々少ない為、役割としては「他の神経の補助」といった位置づけに近いため、
この部分に異常があったところで、日常生活に支障はほぼない。
極度の青黄色覚異常の場合にのみ、青紫や黄緑が、無彩色に見える事がある。
ただ青と緑という組み合わせから、普通の人でも(青信号を「緑」、緑信号を「青」、と言ったりするなど)あまり細かに線引きする場面がないため、本人も、周囲も気づかないままというケースも多々ある。
ちなみに、
赤緑系色覚異常者には、青&緑はまったく系統の違う色に見えている為、
青黄色覚や、健常な人々が、
この2色をあまり区別していない事は、謎以外の何物でもない様子。
例として、
青を始めとする、紫系統の色も、黒に近い様子で見え、
黄系統は白に近い形で見える。
色覚検査をする事は差別か?
色覚異常の部類や、度合いにもよりますが、
先述している通り、(主に染色体の劣性遺伝によるとされていますが)遺伝により、生まれてくる率が高いとされる色覚異常。
「色が全く見えないのだ」「子どもにうつるのだ」という、
間違っていたり、かなり断片的な情報により、差別を受けたりする人々も多々居ました。
そのせいで、「色覚検査はすることは、差別につながる」として、2003年より、全国の小学校から色覚検査が姿を消し、
結果それにより、親も子も、自分の症状を知らぬまま、「色覚が正常であること」が求められる進路・就職を選び、
試験を受けて初めて夢を絶たれる青年達が現れました。
色覚検査が差別扱いされ、
撤廃された詳細記事はコチラ!
10年以上が経過し、2016年、やっと色覚検査が戻ってきたわけです。
ここで誤解のないように書いておきますが、
色覚異常でも、人を助ける仕事や、絵描きなどの仕事に就いて活躍しておられる方は多々おられますし、
一言に「色覚異常」と言っても、視力、種類、程度など千差万別ですので、
一概に「この仕事は色盲だからダメー!」と、一刀両断に断たれるわけではありません。
小学校の一斉検診のように、他の人々の前で、健康診断や身体検査を受けることが必要かどうかはともかく、
自分の身体の事を知る事は、決して差別ではありません。
むしろ
「障害みたいなところがあったら怖いから、知らないほうがよい」
「他人に知られたら、結婚や就職で差別を受けるから、検査はしない事にしよう」という、
事実にフタをする提案と選択こそ、恐ろしいことだと思います。
外へ一歩出れば、色で識別せねばならない事など、山とありますからね!
信号など、死活問題です。
なので、「自分の色覚になんか問題があるんじゃないか」と感じる人は、
なるべく早めに検査を受けて、
「自分にはどの色が見分けづらいのか、自分の色覚のクセ」を知っておく事の方がはるかに大事で、絶対に必要です。
誤認しやすい状況や、注意点などを自分で意識し、
対策を練るなど、対処のしようがありますし、
正常色覚が必要とされる職業への試験・就職前に、問題点に気付き、
よく似た別の職業を選ぶ事ができる、など、
数年をムダにしなくて済むようになったケースもあります。
無知ゆえのフワっとした知識に左右されたり、
完全に間違った言い伝えに惑わされたりせず、
知ってはいても、
心無い差別に「我も我も!」と参加するのではなく、
自分が彼らの兄弟・姉妹だったら・・・と思って行動するようにしましょう!